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連載
2025.06.16

ケアエール de 実践! 住まいを支えるデジタル活用 ~大宮居宅&訪問看護~

本掲載では、ご利用者さまの望む暮らしを、ケアエールの活用によって実現できた事例についてご紹介しています。

 

第15回となる今回は、ケアエールが故Hさまの最後の願いを叶える一助となった取り組みについて紹介します。

「SOMPOケア 大宮居宅介護支援・訪問看護」でのお話を伺いました。

 

■「もう一度」故郷へ:Hさまの物語

享年78にて旅立たれたHさま。奥さまを亡くされてからの1年間は一人ご自宅で過ごされていました。2年半前からHさまご夫婦を担当していたケアマネジャーの澤谷さんは、奥様の逝去後、Hさまの生活を案じていました。車椅子での生活に加え、病院や医療処置を嫌うHさまの性格もあり、独居生活は困難を極めると思われたからです。

 

ある日、Hさまは「もう一度、故郷の松本に行きたい」と呟きました。長野県の松本には、Hさまのご先祖代々のお墓があり、幼少期を過ごした思い出の場所でした。しかし、車椅子での長旅は容易ではなく、健康状態も不安定なHさまにとって、実現は難しいと思われました。

 

そこで、どうすればHさまの願いを実現できるか、皆で集まり松本旅行を企画。澤谷さん、訪問看護の加藤さんを中心にエリアステーションの各担当者、介護タクシー事業者とHさまを支える面々で意見を出し合いました。会議の中で、情報共有を円滑に行いたい、旅行中の様子を写真で残してあげたいとの声からケアエールを使うことが決まり、松本旅行の準備が始まりました。

出発までの期間に移動手段や宿泊施設、緊急時の対応、そしてHさまが嫌がる医療処置をせずに体調管理を行う方法など、ケアエール上での情報共有が行われました。

そしてついに、実現した念願の松本旅行当日。待ちきれないほど楽しみにされたHさまはヘルパーさんに手伝ってもらいながら意気揚々と身支度を済ませ、出発の時間はなんと朝5時半!旅行中は、介護タクシーからケアエールで移動先の写真を撮影し、Hさまの様子をリアルタイムで共有いただきました。

故郷の景色を眺め、同級生のお菓子屋さんや縁の深い神社など、懐かしい思い出に浸りながら各所を巡るHさま。旅の途中、ご友人とも再会ができ、他愛のない会話も楽しまれたそうです。「頑張ってくるよ」と伝えると「あまり頑張るな」と返すご友人。それでも「友達はありがたいな」とHさまは呟いていました。

松本でのお墓参りも済ませ、Hさまは安堵した表情を見せました。実はこの松本旅行は、Hさまにとって、長年心に秘めていたもう一つの目的である墓じまいも兼ねていたのです。Hさまは、かつて松本で温泉旅館を中心とした旅行代理店を経営しており、故郷への想いは人一倍強いものでした。お墓のことが気掛かりだったHさまでしたが、今回の旅でお寺に立ち寄れて良かったと喜ばれていました。

帰京から半年後、Hさまの容態は徐々に悪化し、ご自宅で最期を迎えられました。医者の世話になりたくないと最後までご自宅で自分らしく生きることを望まれたHさま。容態が悪化しながらも、故郷である松本での旅の写真を見つめられていたとお聞きし、松本での旅行がHさまにとってかけがえのない思い出となったことを願っています。

 

■SOMPOケア大宮って、どんな事業所?

SOMPOケア大宮では、居宅介護支援、訪問看護、訪問介護、定期巡回、福祉用具など、様々な在宅サービスをワンストップで提供しています。事業所間の垣根もなく、困ったときはすぐに相談し合えるアットホームな職場です。役職の違いはあれど、皆が自由に意見を言い合えるフラットな環境で、ご利用者さま一人ひとりのニーズに合わせた、きめ細やかなケアを提供することで、住み慣れた地域で安心して生活を続けられるようサポートしています。

 

■ケアエール導入にあたって変化

SOMPOケア大宮では、ケアエールの導入後、ご利用者さまのことが「視える」ようになったと、その効果を実感しています。具体的には、以下のような変化がありました。

 

  • 多職種間のリアルタイム共有による迅速な判断: 『誰が・いつ・どんなケアをしたか』『何を必要としているか』といった情報がリアルタイムで共有され、迅速かつ的確な対応が可能になりました。

 

  • 生活パターンの把握と訪問効率化: 周囲からの情報共有でご利用者さまの生活パターンが分かり(例:「午前中は外出が多い」など)、訪問時間の調整などで空振りが解消され、サービス提供がスムーズに行えるようになりました。

 

 このように、ご利用者さまの状況が「視える」ことで、サービスの質と効率が向上したと強く感じています。

 

■今後に向けて

ケアエールは、介護現場で活用する情報共有ツールとして大きな可能性を秘めていると感じています。現在グループ内ではまだ福祉用具での活用がないので、まずは福祉用具の方にも使っていただき事業所間の連携を深めたいと考えています。情報共有ツールには有名な他社サービスもありますが、私たちは介護現場が主体で使うサービスとしてケアエールを広めていきたいと考えています。情報共有は質の高いケアを行う上でとても大事なことであり、他事業所との連携強化も含め、ご利用者さまのことを深く理解することが、結果としてご利用者さまにとって最善のケアへと繋がるのではないかと考えています。

 

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ABOUT USこの記事を書いた人

ケアエールチーム
デジタル推進室ケアエールチームです。ご家族や関係者と共に取り組むほっこりするチームケアの事例などを発信していきます!