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連載
2026.03.11

WCA2025 第1弾 訪問看護編 ~「時間管理マトリクス」で、管理者の仕事を再定義!~

「日々の業務に追われ、本来やるべきことが後回しに…」
これは、多くの管理者が抱える悩みではないでしょうか。では、管理者が「本来やるべきこと」とは、一体何なのでしょう。

今回から始まるシリーズ企画「WCA特集」は、この問いに向き合い、「管理者が本当に時間を投資すべき領域」を明確にした改革の軌跡を追います。

第1弾は、訪問看護の管理者7名による挑戦。皆さんが「時間管理マトリクス」※後述を活用して業務を見える化し、奮闘の末につかんだ「組織の確かな成長」をご覧ください。

私たちの現在地は?
~「時間管理マトリクス」による業務の見える化~

「気合と自己犠牲で乗り切る毎日」「スタッフとのコミュニケーション不足」。
改革前、参加者たちは多くの課題を抱えていました。

そこで最初に取り組んだのが、「時間管理マトリクス」を使った業務の棚卸しです。

 

業務を「緊急度」と「重要度」で分類すると、多くの管理者がA:クライシス対応B:緊急業務に追われ、さらにD:定型業務にも多くの時間を費やしている実態が浮き彫りになりました。

本当に時間を投資すべきは、C:戦略的業務です。つまり「人材育成」「組織開発」「事業戦略」といった、緊急ではないものの未来を創る重要な業務です。

C領域の時間こそ、管理者が創り出すべき未来への投資だ!

この共通認識が、改革の出発点となりました。その時間を捻出するため、【D領域】の徹底的な効率化・権限移譲、【B領域】の仕組み化へと、具体的なアクションが始まりました。

 

未来を創る時間を、どう生み出すか?
~7人の工夫と葛藤の物語~

「C領域の時間を創る」という目的のため、7人の管理者はそれぞれの事業所の環境に向き合いながら、試行錯誤を重ねました。ここからは、一人ひとりのリアルな工夫と葛藤をご紹介します。

SOMPOケア 姪浜 訪問看護 髙野 裕子さん

大切なのは「プロセスの共有」。丁寧な準備と対話で築いた信頼。

「業務を任せる」という言葉が、スタッフに不安を与えかねないことに気づいた髙野さん。まずは一人ひとりとの個別対話に時間をかけ、本音を丁寧に聞き取りました。

<髙野さんのコメント> 

これは単なる業務移譲ではなく、チーム全体の負担を減らすための改革であることを、理由や背景とともに丁寧に伝えようと準備をしました。情報の中身以上に、そこに至るまでの『プロセスの共有』と『伝えるための準備』が、スタッフの安心感と信頼につながるのだと実感しました。これからも『準備力』を大切にしていきたいです。

 

SOMPOケア 横浜本郷台 訪問看護 浅葉 久美さん

「人材育成は先に予定を」。鷲見さんの一言が転機に。

スケジュール管理のシステム化に着手したものの、入力の手間に苦労し、「きつくて回れない」という現場の声にも直面しました。

<浅葉さんのコメント> 

管理者との学習や1on1の時間を確保しにくいと感じていましたが、鷲見さんからの『人材育成は先に予定に入れることが大切』という助言が大きな転機になりました。現在は、育成の時間を優先的に確保しながらルート調整を行い、業務効率と育成の両立を目指しています。

 

SOMPOケア 徳川園 訪問看護 伊藤 佳代さん

最大の壁は「スタッフの意識」。「実利」の提示で心に火を灯す。

「自分一人の闘いだ」と思い詰めていた伊藤さん。最大の壁は「今のままでいい」とするスタッフの意識でした。若手の異動で、ITリテラシーの壁に当たるかも、との心配もありましたが・・・

<伊藤さんのコメント> 

AIのすごさを説くのをやめ、『音声入力でこれだけ楽になる』と“実利”を示しました。すると、最初は消極的だったスタッフが自ら音声入力を使い始めてくれました。『全員で役割を分担してほしい』と正直な想いを伝えた瞬間、スタッフの中に『当事者意識』が芽生えたと思います。WCAで学んだのは、管理者が孤独を脱ぎ捨て、スタッフとともに仕組みを創る“喜び”でした。

 

SOMPOケア 多摩 訪問看護町田 岡田 民子さん

「自分がやらねば」を手放す勇気。任せることで生まれた信頼。

業務を一人で抱え込み、心に余裕がなかった岡田さん。WCAを通じ、「自分がやらなくてもよい業務」を整理し、勇気をもってスタッフに任せることを決意します。

<岡田さんのコメント>

 業務を任せ、見える化を進めた結果、自分の気持ちにゆとりが生まれました。その時間でスタッフとの対話や同行訪問を増やしたところ、現場の不安が解消され、信頼関係の構築とケアの質の向上につながりました。今後はWCAがきっかけで立ち上げた『多摩訪問看護管理者会』を継続し、事業所の問題解決に取り組んでいきます。

 

SOMPOケア 船橋 訪問看護 髙木 美歌さん

「助けてほしい」…正直な一言が、ワンオペからの卒業証書。

意思決定が管理者に集中するワンオペ状態。髙木さんは「判断の種類の整理・分解」から始めましたが、任せる側と任される側の戸惑いが「最大の葛藤」となります。

<髙木さんのコメント>

一番苦労した葛藤の中で、私は『助けてほしい』と正直に伝えることを選びました。判断を一人で抱え込むのではなく、チームで支える判断に切り替えたのです。その結果、現在では私が不在でも意思決定が回る事業所になりました。ワンオペからチームオペレーションへ。この変化は、判断の担い方を見直した9か月のプロセスの成果です。

 

SOMPOケア 京都 訪問看護 若林 快也さん

「理想の管理者像」との葛藤。仲間との出会いが自分を変えた。

「完璧に仕事をこなすのが管理者だ」と仕事を抱え込み、業務を移譲することを恐れていた若林さん。彼を変えたのは仲間との出会いと対話でした。

<若林さんのコメント> 

『業務移譲をすることで自分の存在意義がなくなる』・『スタッフの負担が増えるだけだ』という思い込みで、二度も行動をためらいました。しかし、そのたびに、仲間との対話で『まずはスタッフの業務を見直すことが重要だ』と気づかされ、組織で支える仕組みを作りました。任せてみると、スタッフは責任感を持って取り組んでくれました。困難を乗り越えられたのは、横のつながりと、失敗しても相談できる仲間の共感があったからです。

 

SOMPOケア 大船渡 訪問看護 佐藤 涼子さん

「答えを出す人」から「方向を整える人」へ。

かつて「管理者は答えを出す人だ」と考えていた佐藤さん。しかし現場での「ズレ」に直面し、その原因が「判断の前提を共有する場の欠如」にあると気づきます。

<佐藤さんのコメント> 

そこから私は、役割を『答えを出す人』から『方向性を整える人』へと変えました。カンファレンスや1on1で、個々の考えや感情を言葉にする関わりを重ねていったのです。スタッフの戸惑いを感じながらも、心を鬼にして見守ることが、最も難しい点でした。現在は、チームの土台が整い、役割に応じて動く姿を見守る段階です。

 

改革が生んだ、確かな変化と「未来の羅針盤」

現場に生まれた確かな変化

どの管理者も「C領域」である対話時間が大幅に増加し、ある事業所ではコミュニケーションの割合が0.9%から40.2%へと劇的にアップ。 スタッフからは「一緒に笑う時間が増えた」「気持ちに余裕ができた」「組織として考えるようになった」といった声が上がっています。

未来への羅針盤「管理者モデル」

そして最大の成果は、参加者全員で「管理者の役割」を可視化・言語化できたことです。事業所の規模に応じた管理者の役割を、具体的なモデルとして整理しました。

小規模事業所 プレイヤーを中心に兼務・即応する「実践密着型」

中規模事業所 プレイヤーと兼務しつつ、優先順位をつけ時間を創る「コーディネーター型」

大規模事業所 マネジメントに専念し、人を育てる「ファシリテーター型」

これは、全国の管理者が迷った時に立ち返ることができる「未来の羅針盤」となるのではないでしょうか。

 

未来へ
~仲間と共に成長する~

今回のWCAが示したのは、管理者の仕事が「ただ忙しく働くこと」ではなく、「未来のために時間をデザインすること」であるという点です。
この学びと情熱は、全社の仲間へとつながっていくと思います。

次回は「サービス付き高齢者向け住宅編」をお届けします。どうぞお楽しみに!

 

 

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ABOUT USこの記事を書いた人

猪野 雄一郎
2006年、ケアスタッフとして中途入社。 現在はウェブサイトの担当をしています。趣味は多肉を育てること!