厚生労働省 実証事業の展開 @SOMPOケア北見訪問介護事業所

このたびSOMPOケアは、在宅介護の技術革新に対する社会的要請を鑑み、厚生労働省より「介護事業者等からの提案手法による生産性向上の取組に関する調査及び実証」(以下、実証事業)を受託しました。
WATCHではこの実証事業の取組みを紹介します!
対象となる事業所は、東日本本部の北見訪問介護事業所(北海道)、柴田訪問介護事業所(宮城)の2か所です。
今回は先駆的な取組みを実践されている北見訪問介護事業所をご紹介します。
北海道北見市の概要
北見市は、人口約12万人、道東に位置するオホーツク経済圏の中心都市です。
オホーツク海沿岸から東西に広がる道内一番の広さを有する市であり、そのため訪問介護の担当エリアも広大で、最大移動時間は50分(冬季には60分)にわたります。
地域包括支援センターは市内に8か所、最大規模は中央センターで当社事業所も近隣地域に事業所を構えています。
北見市の詳細はこちら→北見市のホームページ
北見訪問介護事業所
スタッフの構成(合計18名)
・管理者1名
・ヘルパー16名
・事務職1名
ヘルパーのうち3名はサービス提供責任者(以下サ責)で、サ責の1名は「介護プライドマイスター」です。
同事業所は、居宅支援事業所、訪問看護事業所を併設しており、訪問介護管理者の高橋さんを中心に、事業所横断での連携がとれるチームワークのよい職場となっています。

SOMPOケア実証事業のポイント
実証対象テクノロジーは、「SOMPOケアウィング(以下SCW)※」です。
5年前のSCW導入前と導入後で業務時間の変化を調査して、機器導入の有効性を実証し、介護業界におけるテクノロジー施策(規制緩和、加算新設、補助金拡大)を後押しするものです。
今回の実証事業では、少子高齢化、地域の過疎化、ヘルパーの高齢化等の課題を抱える在宅介護の「品質改善」「生産性改善」を実証することを目的としています。
※SOMPOケアウィング(SCW)とは・・・
訪問介護・看護事業所の記録管理業務に特化したソフトで、事業所における煩雑な紙の事務作業を電子化し、ペーパーレスの働きやすい職場環境づくりを支援します。
北見訪問介護事業所の取組み
北見訪問介護事業所の取組みにおける革新性は、高橋管理者を起点とした、介護プライドマイスターの髙山さん、ケアコンダクターの本宮さん、国仙さんという3名のサ責による「SCWの使い方」にあります。
一般的にSCWは、計画共有や記録報告の電子化といった「効率化」のために使われます。 しかし北見事業所ではそれに加え、現場の状況をリアルタイムに把握・分析するために活用している点が大きな特色です。
北見訪問介護事業所独自の活用サイクル
①インプット:管理者は、ご利用者さま情報・ケア計画・ヘルパーのスキルを事前に把握。
②モニタリング:現場のヘルパーからSCWで送られる「サービス時間」や「特記事項」を確認。
③分析・仮説:インプット情報と現場の記録を突き合わせ、サービスの遅れや報告内容の違和感など「異変」を検知し、原因を推測する。
④アクション:サ責経由で現場ヘルパーへ迅速な指示・連絡を行う。
⑤フィードバック:結果を分析し、ケアの改善とスタッフ教育に活かす。
3名のサ責のコメント
髙山さん(介護プライドマイスター)

SCWデータに基づいて、ヘルパーとコミュニケーションを行うことで、ご利用者さまの変化(計画変更、受診勧奨、区分変更等)にいち早く気づくことができて役立っています。
本宮さん(ケアコンダクター)

ヘルパーさんに対する気づきの提示や指導を通じて、管理者、サ責、ヘルパーの一体感の醸成、チームワークの強化につながっています。
国仙さん

疎遠になりがちなヘルパーさんと、管理者からの示唆に基づいたコミュニケーションを通じて、自身のスキルアップに大いに役立っています。
高橋管理者のコメント
SCWは、計画や記録の電子ツールととらわれがちですが、データ、特記事項の分析を通じた指導・コミュニケーションにつなげることで、事業所職員全体に対する援助の最適化ツール、教育ツールとして活用してきました。

社会的意義
施設の介護とは異なり、訪問介護では、ご利用者さまやヘルパーの表情・反応等を把握することができません。
さらに、電子記録システムの導入により、ヘルパーが事業所に立ち寄る(申し送りの確認、実施記録の提出等)頻度は減少傾向です。
その結果、ご利用者さまに対するリアルタイムなアセスメントやヘルパーへのモニタリングが一段と困難になる傾向があります。
北見訪問介護事業所の取組みは、SCWを「データ分析」→「仮説設定」→「検証・指導教育」の改善ループに活用することで、訪問介護の課題であった「援助のリアルタイムモニタリング」を実施することを可能としている点に大きな意義がある取組みです。
この改善ループを常態的に運用することで、モニタリングされる側のヘルパーも、SCWでどのような情報を管理者に報告すべきかの認識が進み、活用の継続に応じて漸進的にその効果が拡大する好循環を生んでいます。
本取組みの横展開として、自治体(北見市)との協業も検討しており、訪問介護の働き手が高齢化、減少過程にある地域におけるテクノロジー活用による生産性向上施策の普及に取り組む予定です。
北見訪問介護事業所の皆さま
実証事業と未来の介護(在宅)の成功をお祈りしています!











