Future Care Lab in Japan通信 Vol.11

この連載ではFuture Care Lab in Japan(以下FCL)という研究所について、何を目指し、どんなことをしているのかをご紹介していきます。
第11回目は介護テクノロジー『サ付き/安否確認システム』
“サ付き/安否確認システム”が介護現場で活用できるかどうか、2025年3月よりそんぽの家S 木場公園にて検証を行いました。
― 製品開発の経緯と活用シーン ―
“サ付き/安否確認システム”は、カメラ顔認証技術を用いてご利用者さまの個人識別を行い、安否確認業務を支援するためのシステムです。
サービス付き高齢者向け住宅の現場ニーズから、Enazeal株式会社の「離設検知システム」で使用している顔画像解析技術を使用して、サービス付き高齢者向け住宅の「安否確認」をすることはできないかと考え、製品の開発支援に取り組みました。
ご利用者さまがよく通る共用部の動線(例えば、玄関入口や、施設内の食堂の出入り口など)にカメラを設置してその前をご利用者さまが通ることで、顔認証による本人確認ができます。スタッフや管理者は、システム内に登録されているご利用者さま一覧の中で、まだ本人確認がされていないご利用者さまがいないか確認することで、安否確認をより正確に、安心して行うことができます。
― 現場実証にあたって ―
「サ付き/安否確認システム」は下記の困りごとに対して効果があるのではないかと考え、実際の現場での実証を行いました。
今のサービス付き高齢者向け住宅における安否確認の運用は、2パターンあります。
・食堂で食事を召し上がるご利用者さま:
厨房スタッフが食事提供の有無を記録用紙に記入することで、安否確認結果としている。その際に確認や記入ミスが起こる可能性があり、安否確認漏れが発生するリスクがある。
・食堂で食事を召し上がらないご利用者さま:
施設職員が各居室にそれぞれ訪問して確認している。(50人規模の施設で2-3時間ほどかかるケースがある)
現場実証に先立ち、FCLにて実証し、システムが正しく通信できることや、操作が難しくないかなどの確認を行いました。その後、実証協力事業所(フラグシップ施設)である「そんぽの家S 木場公園」にご協力いただき、機器の精度や操作方法について、課題や運用を確認することができました。
― 現場実証を通じて ―
実証に参加いただいたそんぽの家S 木場公園からは『顔認証の検知精度が高くてスゴイと感じた』『確認時刻を記入せず自動で記録されるのは便利』という前向きな意見や、『検知結果の画像が小さいため確認しづらい場合がある』など、さまざまなコメントをいただくことができました。
今後、より大規模な拠点において効果や課題を確認するため、引き続き実証を計画していく予定としています。
そんぽの家S 木場公園では、職員の皆さんが実証に関心をもって取り組んでいただけたため、スムーズに実証を進められることができました。実証にご協力いただいた、そんぽの家S 木場公園の皆さま、本当にありがとうございました 。

