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連載
2025.08.19

ケアエール de 実践! 暮らしを支えるデジタル活用 ~釧路春採小規模多機能~

本掲載ではケアエールを活用しながらご利用者さまの望む暮らしを実現できた事例についてご紹介しています。

 

第16回となる今回は、ケアエールを使うことですれ違うご家族の想いを繋いだ事例を紹介します。

「SOMPOケア 釧路春採 小規模多機能」の管理者、林さまにお話を伺いました。

 

■家族の絆を繋ぐ:Sさまご夫妻の物語

<老々介護、抱える悩みと釧路春採の出会い>

 昨年まで釧路春採をご利用されたSさまご夫妻。元教員のご主人さまとピアノの先生だった奥さまは、子供が独立してからも、二人で支え合い、穏やかな日々を送られていました。しかし、歳を重ねるにつれ、ご高齢での夫婦生活は徐々に困難になりました。83歳を迎え、視覚に障がいのあるご主人さまが、認知症で車椅子生活の奥さまを介助する生活となり、ケアマネジャーから今の生活は限界だと相談が入り釧路春採の利用が始まりました。

 

 釧路春採は、訪問に加え、小規模多機能ならではの「通い」や「泊まり」サービスを組み合わせ、緊急時にはすぐに駆けつける体制を整え、Sさまご夫妻の生活を支えました。しかし、課題はご夫婦のケアだけではありませんでした。いざという時に頼れる息子さまは静岡県にお住まいで、ご両親のことを心配されていました。そのため、静岡での施設入居を促すも理解されず、激しい口論となっていたそうです。その仲裁に入るお嫁さまも気を病まれてしまい、管理者の林さんはその状況を案じていました。。

 

<新たな架け橋、信用重ねて信頼へ>

 そこで、ご家族との関係やSさまご夫妻のことを考え導入したのがケアエールです。電話で伝わらない日々のご様子や、ちょっとした体調変化などもケアエールで共有することで、息子さま方の不安を和らげ、ご家族と事業所双方の連絡の負担も減らすことができました。

 

 そうした真摯な向き合い方から、ご両親への施設入居に関わるお話の一部も息子さま方から任せていただけるなど、信頼は深まっていったそうです。また、ご主人さまは目が見えないことから、物の置き場所や生活導線にこだわり、違う場所にあると当初は声を荒げる場面もみられました。それに対し素直に謝り、配置を写真に残して事業所内で共有するなどチーム一丸となって再発防止に務めました。その結果、釧路春採はご主人さまからも信頼いただけるようになっていきました。おかげで、当初は頑なに拒否していた施設入居についても、ご自身の現状を受け止め、林さんからの話を落ち着いて聞いていただけるようになったそうです。

 

<家族の再会、涙と笑顔のメッセージ>

 そして、遂にSさま夫妻は息子さま方のいる静岡への転居を決意。それからは転居に向け、Sさまご夫婦の体調と精神面にも配慮し、釧路春採もチーム一丸となってお二人の不安の軽減に努めました。息子さまともケアエールを使った密な連携を行い、無事にお二人を送り出せた時、息子さまから1通のメッセージが届きました。

 

 このメッセージは、管理者の林さんはもちろん、関わった釧路春採のスタッフにとって大きな喜びと安堵感に繋がったと言います。また、視覚に障がいのある方への対応など釧路春採としても多くの学びを得る機会だったと感じているそうです。そして後日、息子さまからケアエールに再度メッセージが届きました。

 

 そこには、静岡でお孫さまはじめ息子さまご家族と再会し、嬉しそうな笑顔を見せるSさまご夫妻が写されていました。 すれ違いがちだった家族の想いを事業所が繋ぎ、チーム一丸となって築き上げた絆はサービス利用が終了された後も緩やかに続いています。ご利用者さまとご家族のよりよい暮らしを共に考え、関わっていく大切さを教えてくれるエピソードでした。

 

■SOMPOケア釧路春採 小規模多機能って、どんな事業所?

 SOMPOケア釧路春採は、開設18年を迎える地域密着型の事業所です。訪問、通い、泊まりと小規模多機能の幅広いサービスを活かし、ご利用者さまの在宅生活を支えています。30代~70代と幅広い年代のスタッフが活躍し、勤続10年以上のベテランも多数。一度退職しても「やはりここが良い」と戻ってくるほど、家族のような温かい職場です。

 

■ケアエール導入にあたって変化

 ケアエール導入当初は、「また新しいこと?」「それ、誰がやるの?」といった戸惑いの声も聞かれました。管理者の林さんも携帯やパソコンに苦手意識がありましたが、ケアエールを通じてご家族から届くメッセージを見るうちに、その有用性を強く実感。林さん自身の積極的な活用とスタッフへの情報共有が、スタッフ全体の意識変化へと繋がっていったそうです。

<導入後の主な変化>

    • ご家族との円滑なコミュニケーション: 遠方にお住まいのご家族や、不規則な勤務の方とも時間を気にせずやり取りができるようになりました。高齢のご家族に代わり、娘さまが対応されるケースもあり、お互いの負担が減りました。

 

    • スタッフ間の情報共有の促進:スタッフがご家族とのやり取りを直接確認できるため、又聞きが減り、効率的な連携が増えました。

 

    • ご家族への共有意識の向上:ご家族からいただく直接メッセージにより、スタッフの当事者意識が高まりました。これにより、「これは伝えよう」「写真を送ろう」というスタッフの自発的な行動が増えました。

 

 このように、今まで管理者が担っていたご家族とのやり取りが「見える化」されたことでチームの一体感は深まりました。

 

■今後に向けて

 ケアエールは、体調変化のある方や、遠方・就労で多忙なご家族との情報共有に必要なツールだと感じています。今後もご家族の関心度合いやスタッフへの負担を考慮し、必要な方と無理なく活用していきたいと考えています。また、設定で項目を減らせると聞いたので、連絡ノートの代用などスタッフの負担軽減になるような活用ができないか模索していきます。今いるご利用者さま、今いるスタッフが楽しく笑顔で過ごせるこの場所を守り続けられるよう試行錯誤していきます。

 

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