ご入居者さまによる日常の支え合い~そんぽの家 岡山平井~

左からYさまとSさま
そんぽの家 岡山平井で生まれた、ご入居者さま同士の交流事例を皆さまに紹介させていただきます。
この交流は、ホームが「未来の介護」に取り組む中で、『本人の想いを知る』『生活の継続』といった点を学び、再認識していく過程で生まれました。
日常の中で育まれるお二人の関係
エレベーターを押してYさまを待っているSさま
「ご入居者さま同士の交流を促進させる」取組みに向かうまで
取組みが始まる前のホームでは、
●不要な居室配膳が多い
●食事時の移動援助が多い
●食事の時間に集中する援助が多い
など、食事の時間に関する課題がありました。
そのような中、お二人の関係性にスタッフが気づいたことから、「ご入居者さま同士の交流を促進させる」取組みがスタートしました。
居室配膳だったYさまは、薬の調整で活動的になられたことで食堂誘導へ切り替えました。しかし、お一人で歩く能力はあるものの、不安があり車椅子がいいという訴えがあるなど、毎回食堂へ下りるのはとても難しい状況でした。歩行器で下りられても「早く連れて帰って、独りで帰れない、怖い。」などと仰られ、食事が苦痛の時間となっているご様子でした。
一方、食事が同じ席のSさまは、歩行能力は高いものの帰るタイミングや居住階数、時間の把握などの面でスタッフの援助が必要な状態でした。
ある日Yさまの援助に入ったスタッフが、「Sさまと一緒に上がられますか?」と声を掛けると、「この人となら・・・」ということでご一緒に戻られるようになりました。以降、食事のたびにYさまには「Sさまと行きませんか?」と声掛けをすることで、食堂へ下りられる頻度が増えてきました。
お二人で歩かれる姿も日常になりました
食事の時間に見られる自然な助け合い
取組みが進むにつれ、食事の時間になるとYさまがSさまに「行くでぇ」とお声をかけ、お二人で階下へ向かわれる姿が日常の光景として見られるようになりました。スタッフの介入がなくても行動できる場面が増えたことで、Yさまにとっては“誰かの役に立つ”という社会的役割が生まれました。Sさまにとってはスタッフの援助量の軽減にも繋がっています。
Yさまは穏やかに話してくださいました。「気も合うし、一緒におるのが楽しいんですよ。つじつまの合わないことや、時間が分からなくなることもあるけれど、あの人はそういう個性なんだと思っておるんです。世話をすることもあれば、してもらうこともあるから、一緒におるのがええんですよ」
お雛さまの前で記念写真
お二人の関係がもたらしたスタッフの気づきと未来への展望
YさまとSさまの心温まる交流は、そんぽの家 岡山平井のスタッフに、真の自立支援とは何かという深い気づきを与えてくれました。当初、「それは無理では…」という思いもあったものの、お二人の変化を目の当たりにしたことで、「援助を減らすことが自立支援なのではなく、ご入居者さまの想いを尊重し、必要な場面で寄り添うことこそが自立につながる」という考えに至りました。
この学びは、スタッフの働き方やご入居者さまとの対話の姿勢に大きな変化をもたらしています。単に「できることをやっていただく」だけでなく、楽しみや「役割」を伴う取組みが、ご入居者さまの自立支援に成功し、継続している事例となったのです。
ホームという“特別な環境”と思われがちな場所でも、地域社会のような自然な助け合いが生まれる──。YさまとSさまの関係は、その可能性を静かに示してくれています。
今ではYさまがSさまとなら外にも行けると自信をもたれ、自らホーム駐車場の散歩を申し出られるほどになりました。
お二人で仲良く植栽のお手入れをされました。
「そんぽの家 岡山平井では、この貴重な学びを胸に、ご入居者さまお一人おひとりの想いを尊重し、自然な助け合いが生まれる“未来の介護”を、これからも追求してまいります。」とホームの皆さまから力強い言葉をいただきました。






